こんにちは。エンゲージメントソリューション「WOW engage(ワオエンゲージ)」のマーケティングチームです。
今回のテーマは「顧客ロイヤルティについて」です。
顧客ロイヤルティは、顧客が企業やブランドを継続的に選び、長期にわたり応援し続ける程度を示すものです。単なる満足度ではなく、“今後も選び続けたいか”“他人にすすめたいか”など、顧客がどれだけ企業やブランドに信頼と愛着を感じているかを計る指標です。
昨今、企業の成長や売上拡大には、顧客ロイヤルティを高めることが重要とされています。それでは、具体的にどのように顧客ロイヤルティを向上させれば良いでしょうか。
本記事では、顧客ロイヤルティの測り方や見るべき指標、向上させるメリットや方法、さらに顧客満足度や顧客エンゲージメントとの違いも解説します。
顧客ロイヤルティとは、顧客が企業やブランドに対して抱く「信頼」や「愛着」、「継続して選び続けたい」という気持ちの強さを表す概念です。ブランドへの共感度や信頼度、長期的な支持の度合いを示すものです。ロイヤルティが高い顧客は「ロイヤルカスタマー」とも呼ばれ、継続利用やリピート購入だけでなく、自発的な推奨行動につながる点が特徴です。
前述の通り、顧客ロイヤルティは「今後もこの企業・ブランドを選び続けたいか」「他者に勧めたいと思えるか」といった、将来に向けた意識や関係性の深さを表します。一方、顧客満足度は、「商品やサービスを利用した結果、どの程度満足できたか」という、主に“その時点での評価”を示す指標です。接客の質、機能性、価格、使いやすさなど、具体的な体験に対する評価が中心となります。たとえ現在の満足度が高くても、より安価で便利なサービスが登場すれば、簡単に乗り換えられてしまうケースも少なくありません。満足度が高いだけでは企業のビジネス成長を持続させるには不十分で、そこからさらに顧客の信頼や共感を育み、「選ばれ続ける理由」をつくることが不可欠です。
企業が安定的に売上を確保するには、“満足”を“信頼と関係性”へと発展させる視点が求められます。
顧客ロイヤルティが、企業側の視点から「顧客がどれだけ忠誠心や愛着を持っているか」を測る指標であるのに対し、顧客エンゲージメントは、企業と顧客の間にどれほど強い信頼関係やつながりが築かれているかを表す指標です。
具体的には、SNSでの反応、アンケートへの参加、イベントへの参加意欲、メルマガの開封やクリックなど、顧客の能動的な関与度合いがエンゲージメントの例として挙げられます。
エンゲージメントは「行動」に表れやすく、ロイヤルティは「心理的なつながり」に重きを置いた概念です。両者は明確に異なるものですが、エンゲージメントの蓄積がロイヤルティの向上につながるケースも多く、相互に関係し合う重要な指標といえます。
顧客エンゲージメントについては以下のコラムで詳しく解説しています。併せてご覧ください。
顧客エンゲージメントとは?高める方法や測定に必要な指標を解説
企業が持つ顧客データを統合・分析するCDP機能とマルチチャネルでのメッセージ配信機能がワンパッケージ!
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近年、マーケティングや経営の現場では、「顧客ロイヤルティ」という考え方がこれまで以上に重視されるようになっています。顧客ロイヤルティが重要とされる代表的な理由について解説します。
広告競争の激化やメディアの多様化により、以前と同じ投資額で獲得できる新規顧客数は減少傾向にあります。検索広告やSNS広告などの出稿枠には多くの企業が参入し、クリック単価や獲得単価は上昇し続けています。
また、市場には似通った商品やサービスがあふれており、機能や価格だけでは他社との差別化が難しくなっているのが現状です。その結果、「新規顧客の数を追い続ける」戦略から「すでに接点のある顧客との関係を深める」方向へと舵を切る企業が増えています。
この流れは、単発の集客ではなく、長期的な信頼関係の構築こそが、持続的な成長につながるという考え方への転換を象徴しています。
SNSや検索エンジンのアルゴリズム変更、広告フォーマットの多様化、プライバシー規制の強化などにより、短期的な認知施策だけで安定した成果を出すことは難しくなっています。
また、情報があふれる現代では、「どれだけ多く接触したか」よりも「信頼できるブランドからの情報か」が顧客の選択基準になりつつあります。そのため、一度つながった顧客との関係を維持・強化し、購入体験やコミュニケーションを継続的にアップデートしていくことが重要です。
広告の露出量よりも、“関係の深さ”が競争優位を左右する時代に入っているといえます。
サブスクリプション型サービスやD2C※モデルの普及により、顧客との継続的な関係性そのものが収益に直結するビジネスモデルが増えています。一度きりの購入ではなく、どれだけ長く利用し続けてもらえるかが、企業の成長を左右します。
その結果、LTV(顧客生涯価値)の最大化が重要視され、初回購入後の体験設計や、利用を後押しするコンテンツ、サポート体制の充実が戦略の中心に置かれるようになりました。
「売る」ことよりも「つながり続ける」ことに価値が生まれる時代へと、マーケティングの軸は大きく変化しています。
※Direct to Consumer(ダイレクト・トゥー・コンシューマー)の略。メーカーやブランドが卸売・小売を介さず、直接消費者に商品を販売するビジネスモデルを指します。
顧客ロイヤルティが高まると、顧客の行動や意識にポジティブな変化が生まれるため、企業にとって大きなメリットがあります。顧客ロイヤルティが高い場合、顧客に以下のような行動が見られます。
このように、強い信頼や共感を抱いた顧客は、企業に長期的な価値をもたらす重要な存在だといえるでしょう。
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顧客ロイヤルティを高めるには、場当たり的な施策ではなく段階的な設計が必要です。ここでは、顧客との信頼関係を育て、ファンへと導くために企業が実践すべき3つのステップを紹介します。
最初の購入や契約直後の体験は、顧客が「このブランドを信頼できるかどうか」を判断する重要な分岐点です。ここで不安や不信感が生まれてしまうと、その後の関係構築が一気に難しくなります。反対に安心感を与えることができれば、継続的な利用につながる可能性が大きく高まります。そのためには以下のような取り組みが効果的です。
初回の印象を「安心できる」「好感が持てる」と感じてもらえるかどうかが、その後のリピートや関係性の継続を決める大きなポイントになります。
顧客にロイヤルカスタマーへと成長してもらうためには、「なぜ使い続けるのか」という理由を継続的に提供し続ける必要があります。一度の満足だけではなく、「このブランドと関わることで新しい発見がある」「自分にとってプラスになる」と感じてもらうことが重要です。具体的には以下のような取り組みが有効です。
「このブランドと一緒にいると価値がある」と思ってもらえるかどうかが、継続の鍵です。
ロイヤルカスタマーは、単なるリピーターにとどまらず、ブランドの共感者や応援者へと発展していく可能性を持っています。その段階に進むためには、機能や価格だけではなく、感情面でのつながりを深める体験を設計することが欠かせません。体験の一例は以下の通りです。
顧客を「顧客以上の存在」に育てていくことが、長期的な顧客ロイヤルティを支える大きな力になります。
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顧客ロイヤルティは「どれだけ顧客が企業を信頼し、継続的に関わっているか」を示す概念ですが、感覚的に捉えるだけでは改善につなげにくいものです。ロイヤルティを正しく把握するには、顧客の“行動”と“意識”の両面から数値化する視点が欠かせません。
顧客ロイヤルティは、どれだけ繰り返し利用しているか、どのくらいの期間関係を維持しているかといった「実際の行動」から測定可能です。ただし、その前提として企業が保有する顧客データが一元管理されている必要があります。
店舗・オンライン・部署ごとに情報が分散している、いわゆる「データのサイロ化※」が起こっている場合は、正しい計測結果を得ることができません。まずCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)などを活用し、顧客データを統合することが必要です。
顧客データを統合したうえで次のような指標に注目すると、ロイヤルティの高さや変化を具体的に把握しやすくなります。いずれも、現場で活用しやすい代表的な指標です。
これらの数値を継続的に追うことで、顧客との関係性の変化やロイヤルティ向上の兆しを捉えやすくなります。
CDPとは、「Customer Data Platform(カスタマー・データ・プラットフォーム)」の略称で、企業が持つ顧客データや行動データなどを統合、分析し、マーケティング等の施策に活用するためのプラットフォームです。
顧客一人ひとりのWebサイトの閲覧履歴や位置情報、購買行動など各システムから取得したデータを収集し、「どのようなコンテンツに興味があるのか」「どのようなアプローチをすればロイヤルティが高まるか」などを分析し、最適な施策を見出すことができます。そして、メッセージ配信ツール等と連携することによりそれらの施策を実行し、マーケティング効果を最大化することが可能です。
CDPとは?DMPやCRMと何が違う?導入メリット、活用例を解説
※データのサイロ化とは、データが分断され、連携されずに孤立している状態を指します。以下のコラムでも詳しく解説しています。併せてご覧ください。
サイロ化とは?データのサイロ化がもたらすリスクと解消手順を解説
行動データだけでは見えてこないのが、顧客の「心の中にある信頼度や愛着」です。その代表的な指標がNPS®(Net Promoter Score/推奨度)です。
NPS®は、シンプルな質問を通して顧客の推奨意欲を数値化する指標です。具体的には、次の質問への回答をもとに算出されます。
「あなたはこの商品(サービス)を友人や同僚に薦めたいと思いますか?」という質問に0〜10点で回答してもらう
9〜10点を「推奨者」、0〜6点を「批判者」として、推奨者の割合から批判者の割合を引いた値がNPS®
この数値が高いほど顧客とブランドとの感情的なつながり、つまりロイヤルティの強さが高いことを意味します。NPS®は直接的な売上指標ではありませんが、解約率やリピート率との相関が高いとされており、将来的な収益性や成長性を測るうえで非常に有効な指標です。
そのため、購買データなどの行動指標とあわせて活用することで、顧客との関係性をより立体的に捉えられます。
※Net Promoter®およびNPS®、Predictive NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の登録商標です。
当社が提供するアンケート作成システム「WEBCAS formular」では、NPS®を軸とした顧客への調査が可能です。ぜひお気軽にご相談ください。
NPS®をもとにしたCX調査について詳しくはこちら
NPS®アンケートの作成については、「WEBCAS formular」のコラムで詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
NPS®とは?NPS®アンケートを作成する5ステップと注意点
リピート率や継続率といった行動指標は、「顧客が実際に何をしているのか」を示します。一方でNPS®などの意識指標は、「なぜその行動を取っているのか」という背景を補完する役割です。
両者を組み合わせて分析することでロイヤルカスタマーの特徴をより正確に把握でき、効果的な改善施策を立てやすくなります。例えばNPS®が高いにもかかわらずリピート率が低い層がいる場合、商品やサービス自体には満足しているものの、購入導線や使い続ける仕組みに課題がある可能性が考えられます。
このように行動と意識の両面から顧客ロイヤルティを捉えることで、継続的な関係構築と成果向上が期待できます。
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顧客ロイヤルティを高める取り組みを始める前に、まず明確にすべきなのが「誰をロイヤルカスタマーとみなすのか」という基準です。企業によって“理想の顧客像”は異なるため、やみくもにすべての顧客をファン化しようとすると、施策の効果が分散してしまいます。ロイヤルカスタマーを定義し、育成施策を集中させるための基本ステップを説明します。
まずは直近1年など一定期間のデータをもとに、「実際に継続して購入・利用している顧客」を洗い出します。その際は判断軸となる指標をあらかじめ決めたうえで、客観的に振り分けていくことが重要です。
最初に「すでに自社に価値を感じ、継続的に関係を持っている顧客が誰なのか」を可視化することが、このステップの大きな目的です。
次に、抽出したロイヤルカスタマーのデータを分析し、どのような共通点があるのかを明らかにします。具体的には、以下3つの観点から共通点を見出しましょう。
これらの共通点を整理することで、「どの顧客層に最も力を入れるべきか」「どのような体験がロイヤル化につながっているのか」が明確になります。その結果、限られたリソースをどこに投下すべきかが見え、施策の精度と効率を同時に高められます。
単なるデータ分析にとどめず、具体的なアクションへ結びつける視点が重要です。
顧客ロイヤルティを高める施策の目的は、「すべての顧客に同じ熱量でアプローチすること」ではありません。むしろ、自社の価値を深く理解し、共感してくれている顧客層を軸に、関係性を強化していくことが、持続的な成果につながります。
そのため、対象とする顧客範囲の見極めが重要です。全顧客を対象に広くアプローチしようとすると、どうしてもリソースが分散し、一つひとつの施策の深度が浅くなってしまいます。一方で、コアなファン層に焦点を当てて施策を展開することで、口コミや紹介、ポジティブな発信といった好循環が自然に生まれやすくなります。
そのためにも、「誰にとって、どのような価値を提供するブランドなのか」という方向性を社内で共有しておくことが欠かせません。ロイヤルカスタマーを定義することは、単なる分析ではなく、ブランドの進むべき道を定める戦略的な行為だといえます。
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前述の通り、顧客ロイヤルティを高めるためには顧客データの分析が欠かせません。また、ロイヤルカスタマーに向けた最適なアプローチが必要です。
当社が提供する『WOW engage』は、企業が保有する顧客情報・購買履歴・行動データなどをCDPで統合し、顧客一人ひとりの状態に合わせて、最適なチャネル(メール・SMS・LINEなど)でメッセージを届けられるエンゲージメントソリューションです。
「ロイヤルカスタマーの基準を定義したい」「顧客ロイヤルティを高める取り組みをおこないたい」などの課題をお持ちの方は、ぜひ当社までお気軽にご相談ください。
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顧客ロイヤルティは、顧客が企業やブランドに対して抱く共感度や信頼度、長期的な支持の度合いを示すものであり、企業が持続的に成長していくうえで欠かせない重要な指標です。
新規顧客の獲得が難しくなるなか、既存顧客との関係を深め、信頼と共感を育てていくことが、安定した売上とブランド価値の向上につながります。そのためには顧客の行動データと意識データを正しく把握し、一人ひとりに最適な体験を届ける仕組みづくりが必要です。
顧客ロイヤルティを高めるために、まずは自社の顧客データを確認しましょう。「一元管理できていない」「顧客データの統合に不安がある」などのお困りごとは、当社までお気軽にご相談ください。
コラム執筆:株式会社WOW WORLD 奥本 昌子