こんにちは。エンゲージメントソリューション「WOW engage(ワオエンゲージ)」のマーケティングチームです。
今回のテーマは「パーソナライズについて」です。
デジタル化の進展により、顧客の行動やニーズはますます多様化しています。その中で、従来の一斉配信型の施策では、思うような成果を得られにくくなっています。こうした背景から、顧客一人ひとりに最適な情報を届ける「パーソナライズ」を活用したマーケティングコミュニケーションが注目されています。
本記事では、パーソナライズの基本的な考え方から具体的な施策例、成果を高めるためのポイントまでを整理し、効果的な実践に役立つ情報をお届けします。
パーソナライズ(Personalize)とは、顧客一人ひとりの属性や行動、関心に応じて、情報やサービスの内容を最適化することです。簡単に言うと「その人に合わせた特別な対応」ということです。
顧客全員に向けて同じ内容の情報を届ける「マスマーケティング」とは異なり、顧客一人ひとりにとって最適な情報は何か、最適なタイミングはいつか、最適な手段は何かを分析し、導き出したプランに沿ってその顧客にアプローチするのが「パーソナライズマーケティング」です。
例えば、ECサイトで過去の購入履歴から「○○さん、前回チェックしたアイテムが値下げ中です」という表示が出るなど、近年では私たちの日常においてもパーソナライズを活用したマーケティングコミュニケーションに触れることが多くなっているのではないでしょうか。
「パーソナライズ」と混同しがちな言葉に、「カスタマイズ」や「レコメンド」がありますが、それぞれ意味やアプローチの方法に違いがあります。
「カスタマイズ」は、ユーザー自身が手動で設定や選択によって情報を最適化することを指します。例えば、以下のようなケースです。
カスタマイズの一例
一方「レコメンド」は、同じ趣味嗜好であり特定の行動パターンを持つ顧客をグループ化し、関心がありそうな商品や情報を提案・推薦することです。例えば、以下のようなケースです。
レコメンドの一例
「レコメンド」と「パーソナライズ」は、どちらも顧客に最適な情報を提供するという点では似ているものの、レコメンドが「特定の行動パターンを持つユーザーグループ」をターゲットとするのに対し、パーソナライズは「顧客一人ひとり」の詳細な行動データや属性を分析した上で、個別に最適化された情報を提供するという点が特徴です。パーソナライズでは「誰に・何を・いつ・どのチャネルで」届けるかを最適化し、一貫性のある体験を設計します。単なる表示内容の調整ではなく、全体的なコミュニケーション設計を通じて、個々の顧客と深い関係を築くことを目的としています。
企業が持つ顧客データを統合・分析するCDP機能とマルチチャネルでのメッセージ配信機能がワンパッケージ!
エンゲージメントソリューション「WOW engage(ワオエンゲージ)」でできること、
導入メリット、主な機能など、詳しい資料(PDF)をご確認いただけます。
市場競争の激化や消費者ニーズの多様化、IT技術の進化により、マーケティングを取り巻く環境は急速に複雑化しています。中でも、企業が顧客とより良い関係を築き、購買を促すためにおこなう活動、いわゆる「マーケティングコミュニケーション」においては、以下のような背景から「パーソナライズ」に注目が集まっています。
顧客の価値観やライフスタイルは、従来よりも格段に多様化・細分化しています。かつては「流行」に基づいた画一的なニーズが主流であり、企業から顧客全体へ一斉にアプローチするマーケティングでも効果が見込めましたが、今ではその手法は通用しにくい状況になっています。
また、顧客は「安いから買う」「便利だから使う」といった理由だけでなく、自分らしさの実現や社会的意義に共感できるかといった観点でも購買判断を行うようになってきています。
このように、個人が何に価値を感じるかは千差万別であり、より繊細で柔軟なマーケティング設計が求められているのです。
顧客は、Webサイト、SNS、メール、アプリ、実店舗など、さまざまなチャネルを自由に行き来しながら情報を集め、比較検討し、購入に至ります。このようなプロセスは非線形かつ個別化されており、一人ひとり異なる経路をたどるのが当たり前になっています。
さらに、オムニチャネル化が進む中、顧客はオンラインとオフラインの境目を意識しなくなってきており、チャネルを問わずシームレスで一貫性のある体験を求めるようになっています。そのため、単一のチャネルに依存した施策では、期待する成果を得にくくなっているのが現状です。
このような背景から、顧客の特性や行動に基づいて、個別のニーズに合わせた情報提供を行う「パーソナライズ」が注目されています。
オムニチャネルについては、こちらのコラムで詳しく解説しています。
オムニチャネルとは?メリットやマルチチャネルとの違い、進め方を簡単に解説
企業が持つ顧客データを統合・分析するCDP機能とマルチチャネルでのメッセージ配信機能がワンパッケージ!
エンゲージメントソリューション「WOW engage(ワオエンゲージ)」でできること、
導入メリット、主な機能など、詳しい資料(PDF)をご確認いただけます。
パーソナライズの最大の強みは、顧客一人ひとりに最適な情報を届けられる点です。関心度の高い内容を、適切なタイミングで適切なチャネルを通じて届けることで、メールの開封率やWebサイトでのCV率などを高めやすくなります。
また、過去の購買や行動履歴をもとに設計されたコミュニケーションは、「自分が欲しかった情報だ」「この企業のブランド・商品は自分の趣味に合う」と感じさせやすく、好意や顧客ロイヤルティ※の向上にもつながります。
※顧客ロイヤルティとは、顧客が特定のブランドや商品、サービス、企業に対して持つ忠誠心や長期的な支持の度合いを指します。忠誠的な顧客は他社よりも優先的に特定のブランドや商品、サービス、企業を選択する傾向があります。
またパーソナライズを活用し、継続的かつ信頼感のある関係構築を重ねることで、LTVの向上にもつながります。
LTV(Life Time Value)とは、日本語で「顧客生涯価値」と訳され、顧客がその企業やブランドと取引を続けることで生み出す総収益を指します。単に1回の購入で得られる利益にとどまらず、長期的な顧客との関係から得られる収益全体を評価する概念です。
LTV向上に有効な施策とは?重要な理由や計算方法をわかりやすく解説
パーソナライズの基本は、「誰に(ターゲット)」「何を(コンテンツ)」「いつ(タイミング)」「どの手段で(チャネル)」という4つの要素を最適化することです。これにより、顧客の“今”に即したメッセージを届けることが可能となります。リアルタイム性やタイミングの精度が高まるほど、顧客の心に響くアプローチができるようになります。
企業が持つ顧客データを統合・分析するCDP機能とマルチチャネルでのメッセージ配信機能がワンパッケージ!
エンゲージメントソリューション「WOW engage(ワオエンゲージ)」でできること、
導入メリット、主な機能など、詳しい資料(PDF)をご確認いただけます。
パーソナライズを活用するには、業種やサービスの特性、施策の目的(購買促進、継続利用、離脱防止など)に応じて、適切な方法を選択しましょう。以下に、成果が見込まれる代表的なパーソナライズ活用方法をご紹介します。
顧客の属性や閲覧履歴、購入履歴、嗜好データ等をもとに、その人に合った商品やコンテンツを提示する手法です。これにより、顧客が自分の好みに合った商品を発見することができ、顧客体験の向上・売上アップが期待できます。
たとえば以下のように活用できます。
One to Oneメール配信とは、メールの件名や本文に顧客の名前を差し込んだり、その顧客が好みそうなコンテンツを差し込んだりすることで、「自分宛てに来たメールだ」と思ってもらう手法です。限定セールご招待などのキャンペーン告知、再購入を促すリマインドなど、幅広い用途で利用されています。
メールの内容が「自分の興味のあるコンテンツ」に特化されていることから、開封率やクリック率、コンバージョン率の向上が見込めます。
顧客ごとに最適なアプローチをするOne to Oneマーケティングのコラムもご用意しています。あわせてご覧ください。
One to Oneマーケティングとは?具体的な手法や成功事例を解説
行動トリガー通知とは、顧客の特定の行動をきっかけに自動で通知を配信する仕組みです。
例えば以下のように活用できます。
こうした通知はタイミングが非常に重要であり、適切な瞬間に接点を持つことで、購買意欲を高めたり、離脱を防いだりすることが可能です。メールだけでなく、SMSやプッシュ通知など、複数のチャネルで活用できます。
ステップメールは、あらかじめ設定したシナリオに沿って、顧客に段階的なメールを自動で配信する仕組みです。
代表的な活用例は以下のようなものです。
また、初回購入後の利用促進やクロスセル提案などにも活用でき、顧客との長期的な関係構築に役立ちます。一人ひとりの購買ステージに合わせた適切な情報提供ができるため、ナーチャリング施策としても有効です。
パーソナライズドバナーやLP最適化では、Webサイト上のバナーやランディングページの内容を、訪問者の属性や過去の行動に応じて動的に変化させます。顧客の興味関心に合わせて商品画像やキャッチコピー、レイアウトなどが最適化されるためコンバージョン率の向上が期待できます。
企業が持つ顧客データを統合・分析するCDP機能とマルチチャネルでのメッセージ配信機能がワンパッケージ!
エンゲージメントソリューション「WOW engage(ワオエンゲージ)」でできること、
導入メリット、主な機能など、詳しい資料(PDF)をご確認いただけます。
パーソナライズ施策は多くの企業で導入されていますが、やり方によって成果に大きな差が出ます。顧客理解の深さやチャネル選定、配信のタイミングといった設計段階での工夫が、その後の効果を大きく左右します。効果的なパーソナライズ施策を目指すために、以下の3つのポイントをチェックしておきましょう。
パーソナライズ施策を成功させるには、まず施策の目的を明確にすることが大前提です。LTVの向上、離脱の防止、初回コンバージョンの獲得など、目的によって設計すべきシナリオや配信タイミングが大きく異なります。
また、ターゲットについては従来のように「ペルソナ」だけで捉えるのではなく、顧客が今どのステージにいるのか(検討段階か、購入直前かなど)といった“状態”をターゲティングの基準にすることが重要です。
目的とターゲットを明確にすることで、施策の精度と成果が高まります。
名前を繰り返し表示したり、過度な情報の出し分けを行ったりすると、顧客に「監視されている」とマイナスなイメージを持たれてしまう恐れがあります。パーソナライズは本来、顧客にとって違和感のない自然な体験として機能すべきものです。
顧客が「ちょうど気になっていた」と感じるようなタイミングで情報を届けることで、自然なかたちで関係を深めることがベストです。あくまでも、顧客体験の質を高める手段としてパーソナライズを設計することが大切です。
パーソナライズ施策は、一度設定すれば終わりというものではありません。施策実施後は結果の分析を行い、必要に応じてA/Bテストを実施するなどこまめな見直しと改善を重ねていくことが成果につながります。
また、顧客のニーズや反応は時間の経過とともに変化するため、継続的に運用の見直しが求められます。
企業が持つ顧客データを統合・分析するCDP機能とマルチチャネルでのメッセージ配信機能がワンパッケージ!
エンゲージメントソリューション「WOW engage(ワオエンゲージ)」でできること、
導入メリット、主な機能など、詳しい資料(PDF)をご確認いただけます。
パーソナライズを実現するには、施策そのものの設計だけでなく、それを支える「仕組み」の整備が欠かせません。ここでは、パーソナライズを継続的かつ効果的に行うために必要な2つの基盤について解説します。
前述の通り、パーソナライズは顧客の属性や行動・購買履歴などの情報が鍵となります。
しかしながら、顧客情報が部門やツールごとに分散し「データのサイロ化」が起こっていると、顧客の正確な理解や一貫性のある施策設計が難しくなります。
そこでデータ活用の起点として、CDPの導入を検討するのがおすすめです。
CDPとは、「Customer Data Platform(カスタマー・データ・プラットフォーム)」の略称で、企業が持つ顧客データや行動データなどを統合、分析し、マーケティング等の施策に活用するためのプラットフォームです。
顧客一人ひとりのWebサイトの閲覧履歴や位置情報、購買行動など各システムから取得したデータを収集し、「どのようなコンテンツに興味があるのか」「どのようなアプローチをすればロイヤルティが高まるか」などを分析し、最適な施策を見出すことができます。そして、メッセージ配信ツール等と連携することによりそれらの施策を実行し、マーケティング効果を最大化することが可能です。
CDPでマーケティングを強化するには?施策例や活用の流れを解説
データのサイロ化とは、企業にとって有効なデータが分散して保管され、活用すべき場所へ連携・共有がされていない状態を指します。
データのサイロ化が発生すると、データの重複や不整合が起こり、データの信頼性や正確性が低下するだけでなく、データの利活用においても問題を引き起こします。
サイロ化とは?データのサイロ化がもたらすリスクと解消手順を解説
メール、LINE、SMS、アプリ通知など、顧客との接点となるチャネルは多様化しています。スピード感や精度が求められる現代のマーケティングでは、すべてを手動で対応するには限界があります。また前述の通り、パーソナライズでは顧客に「いつ情報を届けるか」というタイミングが重要です。
そこで、CDP等と連携してメッセージ配信を自動化することで、顧客ごとに最適なタイミングでアプローチが可能となり、開封率やコンバージョン率の向上が期待できます。また、自動化によって日々の運用負荷が軽減され、マーケティング担当者が戦略立案や改善施策に注力できる体制が整います。
企業が持つ顧客データを統合・分析するCDP機能とマルチチャネルでのメッセージ配信機能がワンパッケージ!
エンゲージメントソリューション「WOW engage(ワオエンゲージ)」でできること、
導入メリット、主な機能など、詳しい資料(PDF)をご確認いただけます。
当社が提供する「WOW engage」は、顧客データの統合・分析を行うCDP機能と、メール・LINE・SMSなどマルチチャネルでのメッセージ配信機能をひとつにまとめたエンゲージメントソリューションです。本ソリューションを活用することで顧客を正しく理解し、パーソナライズされた施策を実行できるようになります。
データ統合の例
取り込みたいデータを選定し、WOW engageに連携。データを統合し、セグメントしやすい形に整えます。
データ連携のイメージ
電話番号や顧客ID、cookieなどさまざまなデータをキーとしてデータを統合。
顧客の解像度を上げていきます。
顧客の見える化
特定のグループやセグメント、行動、業種、位置、購買履歴・頻度、興味関心、年齢など、顧客の特性・傾向を視覚的に確認することが可能。これにより「どの顧客に、どのようなコンテンツを、どのタイミングで届けるか」という具体的なパーソナライズ施策を検討できます。
メッセージ配信機能
「WOW engage」は、10,000社以上に導入されているメッセージ配信システム「WEBCAS(ウェブキャス)」と連携しているため、メールやSMS、LINE、アプリプッシュなど、多様なチャネルを活用したパーソナライズ配信が実現します。
また、Web接客や広告など、外部システムと連携して顧客への最適なアプローチを行うことも可能です。実施したマーケティング施策の効果はリアルタイムに確認でき、さまざまなレポートを使って分析することが可能です。
「WOW engage」の機能について
企業が持つ顧客データを統合・分析するCDP機能とマルチチャネルでのメッセージ配信機能がワンパッケージ!
エンゲージメントソリューション「WOW engage(ワオエンゲージ)」でできること、
導入メリット、主な機能など、詳しい資料(PDF)をご確認いただけます。
「WOW engage」を活用すると、顧客データにもとづいた多様なパーソナライズ施策を実行できます。旅行業界における活用例として、具体的な施策の進め方をご紹介します。
ハワイ旅行に関するWebページやSNS広告を何度も閲覧している顧客がなかなか申し込みに至っていない場合、以下の手順で施策を進めましょう。
それぞれの顧客に合わせて興味を喚起させる内容をピックアップし、適切なチャネルとタイミングで接触することで、申し込みを促進します。
企業が持つ顧客データを統合・分析するCDP機能とマルチチャネルでのメッセージ配信機能がワンパッケージ!
エンゲージメントソリューション「WOW engage(ワオエンゲージ)」でできること、
導入メリット、主な機能など、詳しい資料(PDF)をご確認いただけます。
パーソナライズは、顧客一人ひとりの属性や行動、関心に応じて情報やサービスの内容を最適化することです。現代のマーケティングにおいては、パーソナライズを活用しなければ開封率やCV率の向上、ロイヤルティの醸成、LTVの最大化といった成果につなげることが難しいと言っても過言ではありません。パーソナライズの活用を検討するには、施策設計はもちろんのこと、それを支えるデータの統合や自動配信の仕組みが必要です。特に、顧客情報の分断を解消し、行動履歴や購買履歴も含めて360度の視点で顧客を理解することが鍵となります。
前述の通り、「WOW engage」はCDPとマルチチャネル配信の機能をワンパッケージで提供するエンゲージメントソリューションです。「顧客データの統合に不安がある」「顧客データがうまく活用できていない」など、いま抱えている問題・課題などまずはお気軽に当社までご連絡ください。
コラム執筆:株式会社WOW WORLD 奥本 昌子